BRESCIA
ブレーシャ

2019.06.07 - 08

<概要>

 Bresciaは人口約20万人でLombardia(ロンバルディア州)ではMilanoに次いで2番目に人口の多い都市です。約2000年前のローマ時代からアルプス以北との交易で栄えた町ですが、568年からは北方からローマ帝国内に侵入してきた蛮族のランゴバルド王国の支配下に入り、774年にはフランク王国のカール大帝に征服された歴史を持っているので、市内にはは古代から中世にかけての遺跡や歴史的建築物が数多く残っていて、歴史ファンにはもってこいの町です。特にランゴバルド王国が遺した修道院はユネスコの世界遺産に登録されています。

 現在Bresciaはイタリア有数の工業都市であり、機械工業や自動車エンジニアリング、工作機械工業が盛んです。兵器生産地としても有名で、ベレッタという拳銃もBrescia周辺で作られています。

<ホテル>

 ホテルは町の中心でZ.T.L.(Zona a Traffico Limitato:車両通行制限区域)内にありますが、事前にe-mailで「ホテル前に直行すればあとはスタッフがZ.T.L.通行許可と駐車場への移動を行う」と連絡してきていたのでその通りにホテル前に直行して路上駐車しました。その後はe-mailの指示通りスムースでした。さすがは老舗の立派なホテルです

Hotel Vittoria
Via X Giornate 20 Brescia, 25121
+39 030 768 7200
EUR128/night (incl. Tax&BF)
Parking 予約不要無料(台数制限あり) 


ホテルのあるVia X Giornateのポルティコ


ホテル内部


<見所>

 晴天で気温は30度を超えていました。中心街は端正な感じで建物や道路などのインフラがきちっとできていて落書きやゴミは少なく良い雰囲気です。見方によってはちょっとよそよそしい感じがしないでもないですが。

 先ずはホテルを出て東側にあるPiazza Paolo VI(パウロ6世広場)に行ってみます。広く立派な広場ですが、あまり人は多くないようです。広場の東側には歴史的建物が3つ並んでいて壮観な眺めです。手前に見えるのは円形なのでRotondaとも呼ばれるDuomo Vecchio(旧大聖堂)、その奥が Cattedrale di Santa Maria Assunta(現在の大聖堂)とPalazzo del Broletto(ブロレット宮殿)となります。

 Duomo Vecchio(旧大聖堂)の現在の円形の外観はロマネスク様式の典型的なパターンですが、11世紀に紀元前1世紀頃のローマ時代の温泉施設の遺構の上に建てられたものらしく、床の一部にローマ時代のモザイクが見られます。内部には15世紀の内陣と礼拝堂が作られています。円形の宗教施設でDuomo(大聖堂)と称し、現役で礼拝に使われている例はあまり多くないと思います。ちょっと変わった雰囲気ですね。天井のフレスコ画はかなり古そうですが見事な出来栄えです。地下には11世紀のCript(地下墳墓)がありました。ほとんど何もないのですが、柱頭彫刻はロマネスクにしては繊細で見事でした。


手前がDuomo Vecchio(旧大聖堂)、その奥が Cattedrale di Santa Maria Assunta(現在の大聖堂)とPalazzo del Broletto(ブロレット宮殿)

ちょっと風変わりな円形のDuomo Vecchio内部

Duomo Vecchio内部の構造

天井に古そうなフレスコ画

14世紀の石棺

11世紀のCripto(地下墳墓)の柱頭彫刻が見事です

 Cattedrale di Santa Maria Assunta(現在の大聖堂)です。1604年に着工してから約300年かけて完成した大聖堂です。ファサードは17-18世紀のバロック様式です。丸屋根のクーポラは1825年に完成しました。内部はイタリアの大聖堂にしては比較的質素です。後陣に向かって右の祭壇には妙にリアルな15世紀の木製のキリスト磔刑像がありました。第三祭壇には1610年の聖アポロニアと聖フィラストリオの石棺があり、そして左側の側廊に1984年のPaolo VI(パウロ6世)記念碑があります。歴史的な大聖堂の中にある今まで見たことのないような新しく斬新なデザインが印象的でした。


Cattedrale di Santa Maria Assuntaのファサード(正面)


Cattedrale di Santa Maria Assuntaの身廊


15世紀のキリスト磔刑像

聖アポロニアと聖フィラストリオの石棺


Paolo VIの記念碑


 大聖堂の隣にPalazzo del Broletto(ブロレット宮殿)があります。ロンバルディア地方で最も有名な市庁舎建築物です。1223-1298年にかけて建設されたロマネスク・ゴシック様式です。横にある塔Torre del Popoloはより古く11世紀のものです。中庭部分は中世、後期ルネッサンス、バロックの様式で飾られています。

Palazzo del Broletto(ブロレット宮殿)


Palazzo del Broletto(ブロレット宮殿)の中庭


Piazza Paolo VI(パウロ6世広場)
<レストラン>

 ここでお昼になったので、Piazza Paolo VIから北東に行ったところにあるVasco da Gamaというお店に入りました。定食メニューで郷土料理っぽいものがあったので入ってみました。ごくごく普通に美味しかったのですが、ちょっとツーリスティックなお店でしたので特にご紹介はしません。それとこの辺りのツーリスト向けレストランはなぜかインド・パキスタン系の従業員が多い感じがしました。郷土料理Casonceli alla Bresciana(ブレーシャ風カゾンチェッリ)はブレーシャ風ラビオリ。餃子のようなパスタの中にチーズ、ひき肉、パンを崩したものが入っています。


Vasco Da Gamaで昼食


Gnocchi malfatti bresciani(ブレシア風ニョッキ) と焼き野菜


Casonceli alla Bresciana(ブレーシャ風カゾンチェッリ)
<見所>

 昼食を済ませたら今度は Piazza della Logiaへと行ってみました。周囲はヴェネチア支配下時代の建物が多く、優雅な感じのする広場です。広場の東側の建物にはTorre dell'Orologio(1540-1550年)が組み込まれています。

 広場の西側には大きな建造物 Comune di Brescia(Loggiaとも呼ばれる)があります。市民貴族評議会の本部として1492-1574年にヴェネト・ロンバルディ・ルネッサンス様式で建てられています。天才設計師Palladioを含めたコンペティションが行われ、Lodovico Berettaが受賞したと考えられています。Palladio様式(Vicenzaでその様式を見ます)とは異なるタイプの優雅さですね。


Piazza della Logia

Torre dell'Orolofio(時計塔)

Comune di Brescia(Loggia)

 次はBresciaで最大の見所Museo di Santa Giulia(サンタ・ジュリア博物館)です。ロンバルディア王国時代に王女が管理していた修道院が博物館となり、「サン・サルヴァトーレとサンタ・ジュリアの修道院建造物群を含む記念建造物地域」はUNESCO世界遺産「イタリアのロンゴバルド族:権勢の足跡 (568-774年)」の一部となっています。

 以下のような異なる歴史の遺構や建築物が組み合わさってできており、それぞれの時代の名残の美術品が収められています。

San Salvatore(サンタ・サルヴァトーレ教会) ローマ時代の遺構の上に8世紀に教会が建てられ、9世紀に現在の建物が構築されている。地下にCripto(地下墳墓)がある。

Monastero di Santa Giulia(サンタ・ジュリア女子修道院) 753年にDesiderioの王妃Ansaによって建立。1797年に軍事用に転用された。

Santa Maria in Solario(サンタ・マリア・イン・ソラリオ教会) おそらく11世紀頃のロマネスク様式。ランゴバルド族の特徴を残す数少ない文化財。

Chiesa di Santa Giulia(ジュリア教会) 1466年に建設、1599年に拡張。

 特に ランゴバルド族の十字架は印象的でした。宝石をちりばめた豪華さもそうですが、最も興味深かったのは十字架の中心よりちょっと下につけられている小さな丸い肖像画です。そこにはGalla Placidia(ガッラ・プラチディア)と息子Valentinianus III、娘Honoliaの家族が描かれています。この人達は5世紀に西ローマ帝国が崩壊してゆく時代に生きていたローマ皇帝の一族なのです。

 Placidiaは 390-450年に生きていた皇帝一族の女性で、ローマ皇帝テオドシウス1世(大帝)とその後妻ガッラ(ウァレンティニアヌス1世の娘)の娘です。蛮族ヴァンダル人でありながらローマ軍最高指揮官スティリコの下に送られて育ち、蛮族である西ゴート族アラリックによるローマ劫掠(410年)時点では西ゴート族に囚われており、その後アラリックの弟と結婚するという数奇な運命をたどります。その後ローマに戻されたPlacidiaは兄の命令でローマ将軍と結婚し、ここの肖像画に出てくる息子Valentinianus IIIと娘Honoliaを生みます。Valentinianus IIIは425年に西ローマ帝国皇帝に即位します。Placidiaは西ローマ帝国と東ローマ帝国の覇権争いの中で娘Honoliaをローマ元老院議員と結婚させて自分の勢力拡大を図ろうとしましたが、こともあろうに娘Honoliaは当時誰もが恐れる蛮族中の蛮族、野蛮なフン族のアッチラ大王に指輪と共に助けを求めるのです。自分と結婚すれば西ローマ帝国の北側半分を寄進すると書いて。アッチラは西ローマ帝国進行への大義名分を手に入れたと理解し、451-453年に北イタリアを略奪しまくりました。母Placidiaは450年に亡くなっているのでこの惨状は見ていません。その後、Gallaの息子Valentinianus IIIはローマでPlacidia一族の愚行に反発する勢力に暗殺されます。Honoliaは当時の西ローマ帝国首都のRavenna(ラヴェンナ)に幽閉され455年ころに亡くなっているようです。


Museo di Santa Giulia


ロンゴバルド族の彫刻


中世の彫刻ですね

これはローマ時代の象牙彫刻、さすがに精細です


ランゴバルド族の十字架


中央のGalla Placidiaと息子Valentinianus III(のちの西ローマ帝国皇帝), , 娘Honolia(右:後のに蛮族アッチラに嫁ぐ)

Chiesa di Santa Giulia


Museo di Santa Giuliaは元修道院の建物


ローマ時代のアンフォラ

ローマ時代の作品


ローマ時代のガラス作品、現代のヴェネチアングラスに通じるものがあります


ローマ時代のガラス作品、現代のヴェネチアングラスに通じるものがあります

ローマ街道跡


修道院のあった場所にはローマ時代の神殿があったらしい


ローマ神殿の跡

ローマ特有のモザイク床


Monastero di Santa Giulia(サンタ・ジュリア女子修道院)の回廊


ローマ時代の石碑が多数出土しています

ローマ帝国崩壊時に進入してきたさせたロンゴバルド族の武具


ロンゴバルド族の象徴


ロンゴバルド族の木彫

San Salvatore(サンタ・サルヴァトーレ教会)


Cripto(地下墓地)

 Museo di Santa Giulia(サンタ・ジュリア博物館)の西隣にあるParco Archeologico(考古学公園)です。1823年に再発見されたCapitoliumと称するコリント式の神殿(西暦73年)があります。ここからニケの銅像が発見されました。

 Capitoliumの東にはTheatro Romano(ローマ劇場)の遺跡が一部残っています。紀元前のAugustus皇帝時代に建設されて西ローマ帝国崩壊(4-5世紀)まで利用され、その後12世紀まで別の用途に利用されていたらしい。

 南に下るとBasilica Romana(ローマ時代のバジリカ[公共施設])がありました。 Basilica Romanaの一部がその後の建物に取り込まれています。それにしてもローマ帝国の遺構はヨーロッパ、アフリカのあちらこちらに残っています。とてつもなくすごい国家だったのだと思います。


Tempio Capitolino (ローマ時代の神殿)

ローマ円形劇場跡

Teatro Romano(ローマ円形劇場跡)

Basilica Romanaの一部がその後の建物に取り込まれています


涼しげな噴水です


Piazza MorettoとPinacoteca Civica Tosio Martinengo(市立絵画館)

Chiesa di Sant'Alessandro


Teatro Grande


Chiesa di San Francesco d'Assisi(1265年)

Via della Pace

<レストラン>

 夕食はWebで見つけたお店です。ちょっと裏通りにある静かなお店で、小さい子どもがいる夫婦とその母親とで運営しているようでした。ご主人が料理を作って奥様がサーヴし、その母親が孫の面倒を見るという分業体制のようです。地元の食材にこだわったとても丁寧な料理でした。特に黒トリュフソースのRavioliはトリュフの香りがきつくなり過ぎないギリギリの線で目一杯香りを放っていました。馬肉のステーキも馬肉のタルタルも新鮮な馬肉なので臭みが全くなく、美味しく頂けました。ワインはもちろん地元の赤でBotticino D.O.C.(eur32)という銘柄です。ちょっと野生っぽい後味がコルシカ・ワインに似た独特の感じですが、もうちょっと上品な感じかな。時間と共に後味のクセがなくなりました。

 すごく美味しく丁寧なレストランでしたが、この日の客は我々だけでした。地元料理にこだわりながらPrimi Piatti 2皿、Scondi Piatti 2皿、Contorno 1皿、炭酸水、地元ワイン、エスプレッソ2杯と色々と注文してお支払いはeur101でした。

Contrada Del Mangano, 8, 25122 Brescia BS
osterialacolonna.it
+39 030 375 5422


Osteria La Colonna


落ち着いた感じのお店


地元の赤ワインBotticinoと炭酸水

黒トリュフソースのRavioli


弾力性のあるニョッキの中にチーズなど


馬肉ステーキ

馬肉のタルタルステーキと付け合わせのInsalata Miste


Piazza della Vittoria


Piazza della Vittoria西側のごついビル

<見所>

 今日も晴天で暑くなりそうです。涼しい朝のうちに丘の上にあるCastello di Brescia(ブレシア城)へと散歩してみました。現在の城は16世紀のものだそうです。内部に博物館とかあるようですが、城壁沿いに丘の上から見える町の景観を楽しみました。


朝のPiazza Paolo VIとDuomo Vecchio(旧大聖堂)


Castello di Bresciaへの入口


Castello di Brescia

Castello di Bresciaの城壁と塔


上は城壁内への入口



S. Maria del Carmine


旧市街の中心


Chiesa dei Santi Faustino e Giovita

なぜかLocomotiva a vapore SNFT N. 1(1906年製の蒸気機関車)


Castello di Brescia

 Castello di Brescia(ブレシア城)から降りて再度Piazza della Logiaへと行ってみました。広場では色々な食品や生活雑貨などの市が立っていて賑やかでした。

Piazza della Loggiaに市が立っていました


Comune di Brescia(Loggia)の開放空間で子ども達が遊んでいます



Piazza della Loggiaでも市が


Torre dell'Orolofio(時計塔)の上の人形が一時間ごとに鐘を鳴らすような仕草で動きます


Bresciaの博物館・美術館案内

ホテルが発行したZTL(車両立入制限区域)への侵入許可証